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よくある疾患

首の疾患

頚椎症とは

首をおさえる女性

背骨は多数の椎骨が縦に積み重なっており、骨同士の間にはクッションの役割を果たす椎間板があります。頚椎は背骨の首の部分であり、頚椎症は主に加齢によって椎間板の変形が生じて脊柱管が狭窄し、脊柱管を通る神経が圧迫されて痛みや痺れなどを生じる疾患です。骨棘というトゲ状の骨の形成、靱帯の肥厚・石灰化・骨化などによって生じる事もあります。筋力低下や手足の動かしにくさといった症状を起こす事もあり、日常生活へ深刻な支障を生じる可能性があります。

頚椎症の症状

症状の内容は、局所症状、神経根症状、脊髄症の3種類に大きく分けられます。。

局所症状

首や肩に痛みやこりが生じます。手や腕には痛みや痺れを起こさない状態です。

神経根症状

片方の首、肩、手などに痛みや痺れが生じます。また、腕などの筋力低下を起こす事もあります。

脊髄症状

両手や両足に痺れ、動かしにくさを起こします。

頚椎症の治療

薬物治療、干渉波による物理療法、運動器リハビリテーションなどを適切に組み合わせて行います。可動性改善、筋力強化、姿勢改善などは症状の緩和や悪化防止効果が期待できます。痛みが強い場合には、痛み止めの処方や注射による治療を行う事もあります。手指の機能障害など、日常生活への深刻な支障がある場合には、手術を検討します。
なお、頚椎症性脊髄症では、軽い転倒など外傷によって四肢麻痺を起こす可能性があり、治療期間中には日常生活でも細心の注意が必要です。

肩の疾患

肩こり

肩を触る女性

肩こりは幅広い年齢の方が経験する症状であり、肩に加えて首や背中にかけての広い範囲に痛みやこりが生じ、頭痛や吐き気、めまいなどを伴う事もよくあります。パソコン作業やスマートフォンの長時間使用で慢性化しやすく、痛みや動かしにくさなどでQOL(生活の質)を大きく下げてしまう事も多くなっています。
肩こりの原因はほとんどが骨や筋肉など整形外科的な原因によって生じていますが、内科や眼科などの疾患が原因で生じている可能性もあります。当院では整形外科専門医が様々な可能性を考慮した上で肩こりの診察を行っていますので、慢性的な肩こりが続く場合にはお気軽にご相談下さい。

肩こりの予防

日常的に行っている動作の癖や習慣などが慢性的な肩こりの大きな原因になっているケースもよくあります。特に肩こりの原因になりやすいのは、長時間同じ姿勢でいる事です。デスクワークやスマートフォンを使用する際には、1時間に1回以上立ち上がって少し歩く、または軽くストレッチをして下さい。また、睡眠時には寝返りをしやすい低めの枕の使用がお勧めできます。肩を冷やさないよう心がけ、夏でも入浴時にはバスタブで芯まで温まって下さい。
また、適切な筋肉を強化する事で肩こりの解消が期待できます。軽い運動を習慣的に行うと血行も改善し、肩こりの解消や予防に役立ちます。無理なくでき、痛みを感じない程度の軽い運動を継続して行う事が重要です。当院では理学療法士によるリハビリテーションも可能であり、ご自宅でできるトレーニングやストレッチ、日常的な動作で注意する点などについても丁寧にお伝えしています。患者様のご希望に合わせたメニューを組んでいますので、お気軽にご相談下さい。

肩こりの治療

問診で症状などについて丁寧に伺って、触診で肩や後頚部の筋肉の硬さ、圧痛の有無、動きの確認を行います。必要があればX線検査を行い、総合的に判断して診断します。
原因疾患が発見された場合はその治療を行います。
疾患がない場合には、状態などに合わせて牽引療法、物理療法、リハビリテーションによる運動療法などで症状の改善や再発防止を図ります。上記の予防にある日常生活の見直しも症状改善や再発予防に役立ちます。
なお、症状が強い場合には、薬物療法を行う事もあります。薬物療法では、内服薬、外用薬(湿布など)、局所注射などがあります。他にも、筋膜リリースやボトックス注射(自費)で効果が期待できる場合もあります。

肩こりの局所注射治療

痛みを緩和する麻酔薬や、炎症を強力に抑制するステロイドを注射する治療です。痛みは悪循環を起こして慢性化しやすいので、その悪循環を断ち切る事で高い効果が期待できる場合があります。

薬物療法

痛み止めでは、主に非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)が使われ、内服薬、湿布、坐薬などから状態に合わせて選択できます。非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)は発症初期の痛みに特に高い効果を発揮しやすい傾向があります。
他にも、患者様の状態や症状の内容などに合わせて、筋肉の過度な緊張を抑制する筋弛緩剤、漢方などの処方も行っています。

肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)とは

肩をおさえる女性肩の痛みや腕が上がらないなどの運動障害を起こしている状態の総称で、40・50代の発症が多かった事から四十肩・五十肩と呼ばれています。肩関節周辺の炎症や腱板に受けた損傷によって肩から腕にかけての範囲に強い痛みを生じ、腕が上がらないなどの運動障害を伴います。






肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)の症状

肩の痛み、そして関節可動域が狭くなる運動障害を起こします。運動障害では、腕が上がらなくなる、腕を後ろに回せないなどの症状を起こす事が多くなっています。
いきなり強い症状が現れるケースもありますが、徐々に痛みなどの症状が強くなっていくケースもあります。夜中に急激な痛みで目が覚めてしまう事もあります。左右どちらかに症状が起こり、そのうち反対にも症状が出てくるなど、症状の現れ方にも個人差があります。

肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)の症状の進行

発症してすぐの急性期、安静時には痛みがなく特定の動作で強い痛みを起こす慢性期、治療によって腕が少しずつ動くようになる回復期に分けられます。適切な治療を早期に受ける事で、多くの場合は半年程度で症状が改善し、重度の症状がある場合も1年程度で改善に向かいます。治療を受けずにいると肩関節の可動域が狭いまま回復せず、腕の動きの制限が残ってしまう可能性があります。日常生活への支障を残さないためにも、早めに整形外科を受診して適切な治療を受けましょう。

急性期

発症から数週間から2か月程度までの期間です。この時期は筋肉、腱、関節包の炎症が最も強く、肩や腕全体に強い痛みが生じやすく、特に腕を動かすと激しい痛みを起こします。着替えなど日常生活に大きな支障が出てしまう事があります。なお、就寝時に痛みのある方を下にしてしまうと夜中に強い痛みを起こして目覚めてしまう場合があります。

慢性期

安静にしていれば痛みを感じませんが、腕を後ろに回す・前にならえのように腕を地面と平行になるよう前向きに上げるといった動作で強い痛みを生じます。急性期の炎症によって肩関節が固くなり、慢性期には関節可動域が狭くなる肩関節拘縮を起こし、腕を動かしにくくなっています。腕が上がらないなどの制限は、この時期に最も強くなり、腕の回転ができなくなる場合もあります。

回復期

適切な治療によって肩関節拘縮が改善し、少しずつですが腕を動かせるようになっていきます。回復まで一般的に数か月から半年程度かかり、重症の場合は1年以上かかる場合もあります。

肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)の治療

診察可動域を回復させて機能を取り戻すためには、急性期に整形外科専門医の診断と適切な治療を受ける事が重要です。急性期に治療を開始する事で、早く、楽に治せる可能性が高くなり、後遺症を残してしまうリスクも低減できます。肩関節が固くなってしまうと完全な回復が困難になってしまいますので、できるだけ早い受診をお勧めしています。
急性期には、炎症を抑えて痛みを緩和させる非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を処方しています。炎症が強い場合には患部に直接、ステロイドやヒアルロン酸を局所注射する治療を検討します。
また、安静を保つ事も症状の改善には重要になりますので、三角巾などによる固定を行う事もあります。
痛みが軽減し、炎症も改善してきたら再発予防にもつながるストレッチやトレーニングなどをスタートさせます。
慢性期には、運動療法などのリハビリテーションによって肩関節拘縮の軽減や予防、回復を図ります。当院では整形外科専門医と理学療法士が密に連携した治療とリハビリテーションをトータルで提供しており、患者様に合わせた安全でより早い回復を目指せるメニューをご提案しています。

物理療法

低周波治療器などによって痛みで緊張した筋肉をほぐす物理療法を行っています。筋肉がリラックスする心地よい刺激の療法を行う事で、血行が改善して症状の緩和を促します。

ストレッチや筋力訓練

固くなった肩周囲の筋肉を理学療法士がほぐし痛みを解消させ、ストレッチで縮んで伸びにくくなっている肩の可動域を広げていきます。また、低下した筋力を効果的に強化して筋力のバランスを整えるために、ピンポイントの筋力をアップさせるトレーニングを行います。

自主トレーニング

理学療法士が丁寧な指導を行った上で、ゴムチューブ・バランスボール・ストレッチボールを使った筋力トレーニングを行って頂きます。肩に加え、体幹の筋力もアップさせる事で再発しにくい姿勢の改善にもつなげます。

ご自宅でのケアやトレーニング指導

ご自宅でできるセルフケアやストレッチ・トレーニングに関しても、具体的に分かりやすく指導しています。日常的な動作への注意点などもお伝えしていますので、気になる事がありましたら些細な事でもご質問下さい。

腰の疾患

腰痛

腰を触る女性人類は二足歩行によって腰へ大きな負担がかかるようになり、腰痛は人類にとってよくある症状と指摘されています。誰にでも起こる事から腰痛を単なる不調と捉えてしまい、市販されている湿布やサポーターなどで症状をやり過ごしているケースも少なくないのですが、放置してしまうと歩行に障害を及ぼす疾患を進行させてしまうリスクがあります。
腰痛は多くの疾患で生じる症状ですので、慢性的な腰痛がある場合には早めに整形外科専門医を受診して正確な診断を受け、適切な治療につなげましょう。




腰痛の原因

姿勢を始めとした生活習慣の積み重ねによって生じる事が多いのですが、骨や軟部組織の変形を伴っている場合や、疾患によって生じている可能性もあります。
腰痛は加齢で起こると誤解されやすいのですが、激しいコンタクトのあるスポーツなどでは、20代の方が強い腰痛を起こす椎間板ヘルニアなどを発症する事もよくあります。

姿勢

猫背、デスクワークやスマートフォンの長時間利用などで同じ姿勢を続けると、腰椎や腰の筋肉に大きな負担がかかり続けて腰痛を起こしやすくなります。

ストレス

ストレスがあると全身の筋肉が収縮します。腰への負担が蓄積した状態で過度なストレスを受けると、腰痛を起こすリスクが高くなります。

骨粗しょう症

骨密度が低下して骨がスカスカになる病気で、バランスを崩して手をついたりくしゃみをしたりなどの軽い衝撃で骨折するリスクがあります。背骨が体重によって潰れてしまう圧迫骨折を起こし、それによって腰痛を起こす事もあります。閉経した女性は骨粗しょう症を発症しやすいので、症状がなくても定期的に骨密度を検査して、予防や治療にできるだけ早く取り組む事が重要です。

妊娠

妊娠すると重心が前の方に移動してしまい、身体を反らす姿勢を無意識にとってしまうようになります。身体を反らす姿勢は腰への負担が大きく、それによって腰痛を起こす事があります。

ぎっくり腰

重いものを持ち上げる、後ろにあるものを取る、中腰で腰を捻るなどの動作を起こした際に、突然激しい腰痛を起こします。当初は身動きできないほどの激痛がありますが、早めに適切な治療と運動療法などのリハビリテーションを受ける事で治しやすく、再発予防にもつながります。

椎間板ヘルニア

背骨の骨と骨の間のクッションとなっている椎間板が変形し、神経を刺激する事で腰痛を始めとした様々な痛みなどを起こします。加齢で生じる事が多いのですが、ハードなコンタクトのあるスポーツなどをされている場合には20代の発症も珍しくありません。

腰痛の治療

薬物療法、運動療法、物理療法、装具療法、ブロック注射などの幅広い選択肢から、患者様の状態や症状、ライフスタイル、ご希望などに合わせた治療を行っていきます。慢性的な腰痛で長期的な改善が必要とされる場合には、正しい姿勢を自然にとれるようになるためのトレーニングなども重要になってきます。当院では整形外科専門医と理学療法士が密に連携し、リハビリテーションも含めたトータルな治療を行っていますので、ご相談下さい。



薬物療法

炎症や痛みを薬剤で抑えて症状を緩和させる治療を中心に行っています。

運動療法

緊張している筋肉をリラックスさせる運動療法を行っています。また、腰痛を起こしにくくなる正しい姿勢を自然にとれるよう、必要な部分の筋力をピンポイントにアップさせて筋肉のバランスを整えるトレーニングの指導や、日常的な動作の注意点アドバイスなども行っています。

物理療法

内圧や圧迫を緩和させる牽引療法、筋緊張を緩めるための電気や水流による血流改善、マッサージ療法などを行っています。

装具療法

コルセットやベルトなどの治療用装具によって腰を固定する事で、痛みを緩和させる治療法です。ただし、長期間の使用は腰の筋力低下を招き、装具がないと支えられなくなってしまうリスクがありますので、必ず医師や理学療法士の指導を受けて行うようにして下さい。

ブロック注射・仙骨裂孔ブロック注射

激しい痛みがある場合にも効果が見込める治療法です。痛みを起こしている部位に麻酔薬を直接注入します。

変形性脊椎症・腰部脊柱管狭窄症

立つのが難しい人脊柱管は背骨に通っているトンネル状の空間です。脊柱管には神経が通っており、背骨の椎骨、椎間板、椎間関節、後縦靱帯、黄色靱帯などに囲まれています。背骨が変形する、椎間板が膨らむ、黄色靱帯が肥厚すると脊柱管が狭くなり、脊柱管狭窄症を発症します、脊柱管が狭くなると中を通る神経が圧迫されて障害を受ける、または神経への血流が低下するなどが起こり、痛みや痺れなどの症状を生じさせます。
若い方の発症の多い椎間板ヘルニアと比べると、脊柱管狭窄症は加齢が主な原因となって生じやすく、中高年の発症が多くなっています。





変形性脊椎症・腰部脊柱管狭窄症の症状

歩行障害が主な症状であり、中でも間欠性跛行が特徴的な症状となっています。間欠性跛行は、ある程度の距離を歩行すると大腿や膝下に痛みや痺れを起こして歩くのがつらくなり、座ってしばらく休むと再び歩行できるようになる症状です。前屈みになって歩くと症状が現れにくく、座って休むと症状が緩和します。背筋を伸ばす、または後ろに反ると腰痛を起こす事もあります。前屈みや座る事で脊柱管の空間が広がって楽になり、正しい姿勢で歩いたり反り返った姿勢になったりすると脊柱管が狭くなって症状を起こしやすくなります。間欠性跛行は閉塞性動脈硬化症でも生じる事がある症状ですが、閉塞性動脈硬化症の場合には前屈みになっても症状が軽くなる事はありません。
進行すると短い距離を歩いても症状が現れるようになり、筋力が低下し、尿漏れや排尿困難、排便障害などを起こす事もあり注意が必要です。

予防や症状緩和

予防には正しい姿勢を保つ事が重要ですが、すでに症状がある場合には杖やシルバーカーなどを利用し、腰を少し曲げた状態で歩行する事で痛みや痺れを緩和する事ができます。また間欠跛行の症状がある場合には、腰掛けた姿勢でトレーニングできるエアロバイクを使う事で痛みを起こしにくい運動による筋力アップが可能になります。

予防や症状緩和の治療

脊髄神経の血行を改善する薬物療法、リハビリテーション、コルセットによる装具療法などの保存療法を行います。こうした保存療法で改善可能な場合が多いのですが、改善しない場合はMRI等で精査の上、神経ブロック注射、それでも改善しない場合手術が必要になる場合があります。手術は、歩行障害、腰痛、下肢痛、筋力低下や排尿排便障害などの症状があり、日常生活への支障が及ぶ場合に検討しています。現在では、内視鏡による手術や低侵襲の脊椎固定手術などが可能になってきています。手術は連携している高度医療機関をご紹介していますが、その場合も手術後のリハビリテーションやフォローは当院で受けられます。

坐骨神経痛・腰椎間板ヘルニア

坐骨神経痛とは

くしゃみをする男性臀部から脚に走る坐骨神経に沿って生じる痛みは「坐骨神経痛」と呼ばれており、坐骨神経痛を起こす主な原因には、腰部椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、内科系疾患、婦人科系疾患、血管性病変、腫瘍、ストレスなどがあります。適切な検査による正確な診断が適切な治療には欠かせず、原因によって治療内容は大きく変わってきます。





坐骨神経痛の症状

原因疾患が多岐に渡る事から、座っていると悪化する、立っていると痛みが強くなる、安静にしていても痛みがあるなど、坐骨神経痛の現れ方にも様々なタイプがあります。
坐骨神経痛の特徴として、強く鋭い痛みを起こす事が多く、日常生活に支障を及ぼす事もあります。
腰部脊柱管狭窄症で生じる坐骨神経痛では、前屈みになっていると症状が起きにくく、腰部椎間板ヘルニアは病変の場所により症状の内容が異なってきます。ただし、腰部椎間板ヘルニアは第4腰椎と第5腰椎間のヘルニアによって第5腰椎神経根が圧迫されるケースが多く、その場合にはふくらはぎ外側から足の甲を通り、親指まで痛みや痺れが生じやすい傾向があります。ふくらはぎの裏から小指にかけて生じる痛みや痺れがある場合には第5腰椎と第1仙椎管のヘルニアが疑われます。また、左右の脚に同時に痛みを生じる事は少なくなっています。痛みや痺れは、くしゃみや咳などをきっかけに生じる事もあります。
なお、神経の圧迫が長期間続く事で生じる坐骨神経痛は、神経障害が悪化すると排尿・排便障害、排尿間隔が短くなる膀胱直腸障害などを起こすケースもあります。

坐骨神経痛の治療

神経の圧迫によって生じている坐骨神経痛の場合、患部を安静に保つ事が重要です。また、運動によって悪化しやすい場合は、運動を一時的に控える必要があります。
痛みが強い場合には非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を、筋肉のこわばりや血行が悪化している場合には筋弛緩剤や血管拡張剤などによる治療を行います。
それ以外にも、状態に合わせた装具療法による局所安静、リハビリテーションなどから患者様の状態に合わせた治療、必要あればMRI等で精査を行います。
なお、こうした保存療法では十分な効果を得られない場合には、高度医療機関をご紹介致します。

腰椎椎間板ヘルニアとは

腰を触る女性背骨の骨同士の間でクッションとしての役割を持った椎間板が変性し、後方に飛び出ている状態が椎間板ヘルニアです。腰椎の椎間板に生じた場合、腰痛を起こし、馬尾神経や神経根への刺激によって下肢の痛みや痺れを生じます。坐骨神経痛を起こす原因疾患として腰椎椎間板ヘルニアは最も多くなっていますが、坐骨神経痛は症状の名称であり、疾患の名称は腰椎椎間板ヘルニアです。
腰椎椎間板ヘルニアは、加齢、座る・屈む姿勢を長時間続ける生活、腰に負担がかかる作業や動作の多い仕事をしている、ハードなコンタクトのあるスポーツなど、様々な要因に影響されて発症します。慢性的に痛みが起こり、徐々に強くなるという経過をたどる場合もありますが、急に発症するケースもあります。また、若い方はスポーツによる発症が多い傾向がありますが、激しい接触など特に思い当たる理由なく突然発症するケースも珍しくありません。

 

腰椎椎間板ヘルニアの症状

主な症状は、腰痛、下肢の痛みや痺れ、下肢に運動麻痺が起こって筋力が低下する、知覚麻痺によって感覚が鈍くなるなどがあります。運動麻痺では、サンダルやスリッパが脱げやすくなる事もあります。悪化すると強い痛みで歩けない、起き上がれないなど日常生活に多大な支障を及ぼす場合もあります。また、椎間板の突出が顕著な場合には、排尿・排便障害を起こす事があります。

腰椎椎間板ヘルニアの治療

椎間板の突出が残っていても、神経根の炎症が治まる事で痛みや痺れの症状改善が期待できますので、薬物療法や理学療法、神経ブロックなどの保存療法を行います。なお、後方靱帯を突き破ってヘルニアが突出している場合には、自然吸収される可能性がありますので、経過の観察も必要です。なお、こうした保存療法で十分な改善が得られない場合には、手術を検討します。

薬物療法

非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)やビタミンB12、痛みなどを伝える神経伝達物質の過剰放出を抑制する薬などから必要な薬を組み合わせて使います。なお、神経痛の薬には強力なものがありますが、副作用も強く出る可能性がありますので、経過をしっかり観察しながら慎重に量を調整する事が不可欠です。

理学療法

腰椎牽引などの物理療法で圧迫や内圧を軽減します。腰痛がある程度落ち着いたら、患部の周囲の筋力強化、ストレッチなどの運動療法で腰椎の安定化を目指します。

神経ブロック

圧迫された神経の周辺に直接薬剤を注入して炎症や痛みを効果的に抑えます。一時的な効果ですが、痛みがさらに強い痛みの原因になってしまう負のスパイラルを断ち切るためにも有効とされています。なお、当院では腰椎に対する神経ブロック治療は行っておらず、必要な場合には連携している高度医療機関をご紹介しています。

足の疾患

痛風

痛風血液中に含まれる尿酸値の高い状態が続く疾患が高尿酸血症です。痛風発作は高尿酸血症によって過剰な尿酸が結晶化して足の親指の関節などにたまり、炎症を起こして激しい痛みを生じている状態です。高尿酸血症で尿酸値が高いと、腎臓にダメージを与えて深刻な腎機能障害を起こしたり、動脈硬化を起こしたりする可能性がありますので、痛風発作を起こした事がない場合にも、高尿酸血症の治療は必要です。健康診断で尿酸値が基準より高い場合には、早めにご相談下さい。





痛風の原因

過剰なカロリー摂取によって内臓脂肪が増加すると遊離脂肪酸が作られて肝臓に運ばれ、尿酸値を上昇させるプリン体の代謝が促進されてしまいます。こうした事から、内臓脂肪型肥満は高尿酸血症や痛風のリスクが高くなります。内臓脂肪型肥満の解消には、食事療法を含む生活習慣の見直しが重要になります。また、尿酸値を上昇させるプリン体は多くの食品やアルコール飲料全般にも含まれていますので、プリン体の多いものをできるだけ避ける事も重要です。ただし、生活習慣改善では十分な効果を得られない場合には、高尿酸血症の薬物療法が必要になります。

リスク要因

  • プリン体の多い食品(レバー、エビ、魚卵、肉類など)を食べる事が多い
  • ビールやお酒などアルコールを飲み過ぎてしまう
  • 清涼飲料水をつい口にしてしまう
  • 激しい運動を習慣的に行っている
  • 30歳以上の男性
  • 内臓脂肪が多い・増えている
  • ストレスがたまっている
  • 痛風発作を起こした家族がいる
  • 水分の摂取量が少ない

など

痛風の治療

食事の改善を中心にした生活習慣の見直しを行い、必要な場合には薬物療法を行います。水分の積極的な摂取も過剰な尿酸の排出に役立ちます。痛風発作は尿酸値の高さだけでなく、尿酸値の大きな変動によって生じる事がありますので、尿酸値を下げる治療では時間をかけてゆっくり尿酸値を下げていきます。
なお、血液検査で尿酸値が下がっても、尿酸の結晶は残っています。それが溶けるまでしっかり治療を続ける事が重要です。

肉離れ

走る人たち肉離れは、急激に耐えられないほど強い負荷を受けた筋肉が断裂した状態です。筋肉の1部が断裂する事もありますが、完全に切れてしまう事もあります。主な症状は内出血・腫れ・激しい痛みであり、炎症を起こします。
肉離れで注意が必要なのは、成長期に起こった場合です。子どもが肉離れを起こした場合、痛みによって全身の筋肉が固くなり、身体に歪みを残してしまう危険性があります。また、子どもの筋肉が骨につながっている部分は柔らかく、強い力がかかると肉離れではなく剥離骨折を起こす事もあります。乳幼児期の期間に肉離れを起こす事はまれですが、小学校高学年になると肉離れを起こしやすくなります。ダッシュとステップ、高いジャンプと着地といった負担が大きい動作を行っていて急に痛みを訴えた場合には肉離れが疑われます。疑わしい状況や症状がある場合には、できるだけ速やかに整形外科を受診しましょう。




肉離れの原因

筋肉が耐えきれる限界以上の負荷が急激にかかる事で筋肉は断裂を起こします。また、筋肉に疲労がたまっている、筋力が低下している、柔軟性が低下しているとそれほど強い衝撃ではなくても筋肉が断裂する事があります。
肉離れの予防には、スポーツの前のストレッチや準備運動が重要です。また、効果的なストレッチを覚えてデスクワークの合間にこまめに行う事で筋肉の柔軟性が保たれて肉離れの予防につながります。なお、運動の前には必ず準備運動やストレッチをしっかり行うようにして下さい。

肉離れの症状

成長期の子どもとアスリートが肉離れを起こしやすい場所に、大腿の後ろの大腿二頭筋・大腿前側の大腿四頭筋、大腿裏側の内側にあるハムストリングスなどがあります。年齢が高い場合は、ふくらはぎに存在する腓腹筋が肉離れを起こしやすいとされています。なお、テニスレッグは、腓腹筋の肉離れです。

正しい応急処置

冷やす

すぐに冷却する事で、内出血の拡大を防ぎます。冷やし過ぎると逆効果になり、筋肉が固くなって血行の悪化を招く事がありますので、濡れたタオルなどで冷やすようにして、30分以上のアイシングは行わないで下さい。また、肉離れが疑われる場合にはできるだけ安静を保ち、歩く事はできるだけ避けます。

圧迫

止血が必要な場合や、腫れを抑えるためには、圧迫が有効です。適度な圧迫を行って下さい。

下肢挙上

脚を心臓よりも上に高く持ち上げる事で痛みが少し緩和され、腫れの悪化を抑制します。病院までの移動の車内や待合室では、できれば膝を少し曲げて横になり、脚が持ち上がるようにして下さい。

患部に負担をかけない

移動の際には肉離れした部位に体重がかからないよう、細心の注意を払って下さい。数歩でも徒歩が必要な場合は肩を借りる、おんぶしてもらうなどの対策をとりましょう。

肉離れの治療

問診後、超音波検査、X線検査、MRI検査などを行って正確な状態を把握します。剥離骨折などの有無もしっかり調べます。肉離れと診断されたら、軽症・重症の判断をして、必要とされる処置を行います。
肉離れでは、筋肉のみがダメージを受けたケースと、他の部分にも損傷が及んでいるケースでは治療時間に大きな差がでます。損傷が大きく、筋肉以外にも損傷が及んでいる場合には、長い治療期間が必要になります。

骨折

骨折骨折は、交通事故、転倒、衝突など、外傷によって生じる事が多くなっています。外傷以外では、過度の運動によって生じる疲労骨折、骨がスカスカになって折れやすくなる骨粗しょう症、がんの転移なども原因になります。
骨折は1か所が折れているケース、複数の骨折が生じているケース、皮膚から骨が出てきてしまっている開放骨折などがあり、骨折した部位や程度などによっても適した治療法が変わってきます。





骨折の症状

骨の周辺には神経や血管が豊富に走っており、こうした組織が骨折によるダメージを受けると強い痛みや腫れ、皮下出血による青いアザが生じる事があります。また骨折した部位によって治るまでに様々な制限が生じる事があり、脚の骨折で歩行が困難になる、手指のケガでものを持てなくなるなど生活への支障も生じます。

骨折の治療

問診や患部の触診を行い、X線検査やMRI検査などで周辺組織への問題の有無や状態を正確に把握し、捻挫、脱臼、打撲などとの鑑別を行って骨折の確定診断となります。治療は状態に合わせて様々な手法から選択されます。

打撲・捻挫・靱帯損傷

打撲

打撲転倒や衝突などから身体の1部に激しい衝撃を受けて、皮下組織や筋肉がダメージを受けている状態です。衝撃を受けた部分に内出血を生じ、熱感や腫れを伴い、その後徐々に薄れていきます。骨折と打撲は見た目では判断がつかないケースもあります。強い衝撃を受けた場合は、痛みがそれほど強くなくても整形外科を受診して骨折の有無や打撲の状態をしっかり確かめてもらう帰途が重要です。




打撲の症状

皮下出血を生じて赤くなり、しばらくすると熱感や腫れが現れ、痛みは受傷直後よりも、ある程度時間が経ってから強くなる傾向があります。色は少しずつ薄れていきますが青紫や茶色、黄色などに変わる事もあります。軽度の打撲では10日程度で腫れや痛みが改善に向かいますが、症状が改善しない場合は骨折している可能性もあります。気になる場合には早めに整形外科を受診して骨に異常がないか確かめましょう。

打撲の原因

主に、衝突、転倒、落下によって生じます。

接触や衝突

固いものに当たる、人とぶつかるなど、接触や衝突で打撲が生じる事はよくあります。スポーツでは、激しいコンタクトを伴うラグビー、サッカー、アメリカンフットボール、格闘技などで打撲のリスクが高くなっています。また、ダンスやバレエ、チアリーディングでも打撲は少なくありません。

転倒

歩行やランニング中に転んでしまい、ものや地面、人にぶつかって打撲する事があります。

落下

高いところから落ちて打撲を生じる事があります。高さなどの状況によっては命に関わるケガを負う事も考えられます。アクシデントが起こるとアドレナリンなどによって脳が興奮状態になり、しばらくは痛みを強く感じない事がありますので、注意が必要です。

捻挫・靱帯損傷

捻挫・靭帯損傷許容範囲を超えた範囲まで関節が動いてしまい、関節や周囲の組織が損傷を受けている状態です。足関節に多く生じ、軽度だからと放置してしまうと足首が正常な状態に戻らなくなって捻挫を繰り返し、状態が悪化してしまう事も珍しくありません。捻挫では、骨同士をつなぐ靱帯の損傷、骨折、腱損傷、筋損傷などを伴っている疑いもありますので、整形外科を受診して状態を正確に確認し、しっかり治す事が重要です。






捻挫・靱帯損傷の治療

損傷の程度などによって治療やリハビリテーションの内容や進め方は大きく変わります。捻挫は繰り返しやすい傾向がありますので、リハビリテーションの重要性が高くなっています。荷重や関節可動域のトレーニング、股関節・体幹トレーニングなど、再発防止を視野に入れたメニューをご提案しています。また、セルフケアやご自宅でのトレーニングとストレッチ、日常動作やフォームなどに関するアドバイスも行っています。